Klaus Schulze
Cyborg (1973)

Kosmische Musik / Brain / Spalax 14922 - total time 49:40 + 47:40
  1. Synphära 23:51
  2. Conphära 25:49
  3. Chromengel 22:49
  4. Neuronengesang 24:51

Recorded: February to July 1973, Berlin
Orchestre Cosmique : 12 violoncellistes, 3 double-bassistes, 30 violonistes, 4 flutistes
Klaus Schulze : Orgue, Syntheiseur, Chant, Percussion

『サイケデリック・アンビエントの魁』

シュルツェの2ndアルバムで、前作同様、コズミック・オーケストラとの共演。ダイナミックだった前作に比べると、精神的、冥想的なコンセプトになっているようだ。 リズムトラックやシーケンスも用意されておらず、サイケデリックなドローンが全編にわたって展開される。どの曲も、これといった展開が無い所為か、国内盤LPリリース時には、「きわめて退屈」「忍耐の2枚組み」など散々な評価がなされていた。

Synphära(シンフェラ)
オーケストラによる、瞑想的な持続音フレーズが淡々と続く。オーケストラは電気的エフェクトが深く、あまり生音っぽくない。どこか遠くで鳴っているような感じである。一方で、電子音によるエフェクトは、これでもかというほど前に出る。オシレータやモジュレータのツマミを気の向くままに操作して、楽しみながら演奏しているのだろう。そのサウンドは、くちゃくちゃ、ざわざわと少々騒がしい。 タイトルの意味は不明だが、phäraはキャパシタの容量を表す単位との説もある。

Conphära(コンフェラ)
こちらもオーケストラをフィーチャーした作品。発振音によるビート(のようなもの)をバックに、オーケストラが悲しげなフレーズを奏でる。ザラザラ、ガサガサしたサウンドの質感は、ときに耳障りで、あまり気持ち良いと思えないこともある。気持ち良さは、前作に比べて後退したのだろうか。音量を上げずアンビエントとして聴けば、かなり良い作品に思えることが判った。

Chromengel(クロム天使)
このトラック以降、オーケストラは登場しない。聖歌のようなオルガン(もちろんシュルツェ節)と電子パルスのようなビート。変調音がくちゃくちゃ飛び回る。このアルバムでは、最も聴きやすい作品だ。

Neuronengesang(神経歌唱曲)
こちらはメロディ控えめな、発振音によるドローン。発振器からの電子パルス音がブチブチするようなサウンドで、荘厳というよりもサイケである。 シュルツェ節も鳴ってるけど、やや控えめ。

以上のように、本作は脱音楽的で実験的な作品。マニア向けな部類に入るだろう。 しかし、なぜかプログレファンの間では人気が高い。 次回作以降は、ミニマル・シーケンスやメロディアスなソロ、ドラムスまでを加え、かなり様変わりしている。技術的な進歩なのか、それともシュルツェ自身にも、なんらかの心境の変化があったのだろうか?

本編については、音の処理がこなれていないと感じるが、La Vie Electronique 1-2に収録されているアウトテイクを聴いてみると、エフェクトをかける前のピュアな電子音を堪能することができて、全く古さを感じない。ぜひ併せて聴いてみてほしい。

Revisited Bonus Track: But Beautiful 50:45 (Concert in Brussels, 1977)
音質良好なサウンドボード録音。historic edition等に収録されても良いような長編ライブテイクである。中間部の、色々なシーケンスを入れ替わり立ち代り登場させる部分が見事。ただしマスターの劣化があり、アナログ・ドロップアウトがあるのが残念だ。完奏拍手終了。

ジャケットは以下2種類がリリースされている。 (1) 赤っぽいバックライトにたたずむ若きシュルツェ氏ご本人。 (2) Urs Amman によるサイケなイラスト。 オリジナルは前者(1)であり、(2)はリイシュー版。1970年代、Brain からのLP盤でリリースされている。



Spalax (digipak)
Spalax (digipak)

Fotos : Marcel Fugère
Cover Design : Peter Geitner
Spalax版はディジパック仕様(横長なのでトリミングされる場合あり)。 それでも、オリジナルイメージ再現の努力は買えると思う。 サイケデリックで乾燥したサウンドのイメージにも合っていると思う。



Brain版 (Urs Amman)
Brain版 見開き

Brain版の、Urs Amman によるイラストはサルバドール・ダリを連想させられる。 表紙のキャラは前作よりも人間離れした。青白く発光する顔のない頭部。 消えかかった両腕と右足。上空の球体に右手を伸ばし、左手は「顔」を覆っている。 一方で、おヘソはあるし、その下には男○のような突起物が。 うつぶせに横たわるキャラはモルゲッソヨ像(○根像)に見える。 見開きでは異形のフジツボ大群に囲まれて、絶望感が漂う。 なお初期の日本版LPは見開きにライナーノーツが印刷される超残念仕様だったらしい。 2018年の紙ジャケット企画(Belle Antique)はBrain制約があるようで、Urs Amman版になっている。


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