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Crystal Ball(通称クリボー)はネット通販(1-800-NEW-FUNK)でリリースされた、3枚組み未発表曲集。
いわゆるオフィシャル・ブートレグとの位置づけで、後にBMG系列(国内盤は日本クラウン)から店頭版もリリースされている。
画像は店頭版のパッケージ。
店頭版はアコースティック・アルバム the truth をセットした4枚組み、通販版は更に Kamasutra を追加した5枚組み仕様となっているので、購入にあたっては注意されたい。
再発されない限り、現物入手は中古またはネットオークション経由となるので、念を入れて確認するべきである。
同じタイトルのブートレグも存在するので、混同しないように。
この作品は「1985年前後の未発表曲を一挙収録」と紹介されることもあるが、それは誤りで、大半は1990年代以降の録音である。
それらがバラバラに収録されているので、通して聴いても整合性は今ひとつ。
それ以前に、収録されなかった名曲群が、あまりに多いことに気付く。
これは Prince & The Revolusion 名義の作品(特にWendy & Lisa 参加作品)が全て外されたことに因るらしい。
のちに同名義の未発表曲集 The Roadhouse Garden がアナウンスされるものの反故にされている。
追い討ちをかけるように、1980年代の音源はカット編集だらけ(全長版ではない)という、つらい現実がある。
3枚組みながら、各ディスクの収録時間は50分足らずで、時間だけに着目すれば2枚に収録可能。
それ以前に「各ディスクの収録時間を50分弱に揃えること」が仕様だったようである。
個人的な感想ながら、やはり納得いかない。
結局は、古い低音質のブートレグを手放せない、という結果に終わってしまった。
以上のように苦言だらけの評価になったが、「1980年代の音源」にさえ拘らなければ、素晴らしい内容であることを付け加えておきたい。
disc 1)
タイトル曲の1-1(Crystal Ball)は、
アルバムCrystal BallあるいはDream Factoryにて用意されながらお蔵入りとなった、定番未発表曲。
妖しげなシンフォニック・ジャズ・ファンク大作で、極めて独創的。
そして中盤以降の目くるめく展開が圧巻。
非常に残念ながら、ここに収録されるバージョンは完全版ではなく、緩急目まぐるしく入れ替わるパート(8分20秒頃)がカットされている。
あのメロトロン風ストリングス・ソロは聴けない。
1-2(Dream Factory)は、幻のアルバムDream Factoryの主題曲。
調子外れで猥雑で、カミール声(ピッチを速めた声)とクラッパー炸裂の、いかにもプリンスらしい名作。
残念ながら、これも短く編集されているみたい。
1-3(Acknowledge me)は一聴して時系列が進んだことが分かる、重厚ファンク。
アルバム The Gold Experience のために制作されたが、P. Control に差し替えられたとのこと。
1-4(Ripopgodazippa)は珍しく、レゲエ。同種の曲 The Blue Light("Love Symbol")よりもクールな仕上がり。
1-5(Love sign)は発売中止になったMaxi Singleから。D.M.S.R.からのサンプリングが上手くマッチしている。
1-6(Hide the bone)は Shockadelica を強く連想させられるものの、NPG参加とのことで、録音時期が異なるようだ。
ちなみの"bone"はスラングで、身体の一部(棒状のもの)を指すらしい。
1-7(2Morrow)は、Love sign をアンビエントスタイルにしたかのような、しっとりた佳作曲。
意外に手の込んだアレンジあり、けっこう楽しめる。
1-8(So dark)は一人多重コーラスによるバラード系。アルバム Come からの別バージョン。
1-9(Movie star)は定番未発表曲。トリッキーでジャジーな名曲。
1-10(Tell me how U wanna B done)は The Continental("Love Symbol")の後半部分の別ミックス。
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disc 2)
2-1(Interactive)は同名CD-ROMソフト(未入手)の主題曲だが、もろエンドルフィンマシーン(The Gold Experience)の別テイクといった趣き。
典型的な1990年代バンド風の音作り。
2-2(Da bang)はブルース調の主題と高速ロックが交互に入る、ユニークな曲。
プリンスの金切り声が凄い。
2-3(Calhoun Square), 2-4(What's my name)も新らし目の曲に聴こえる。
2-5(Crucial)は定番未発表曲で、アルバムSign 'O' The Timesのラストに収録予定だったとされる(Adoreに差し替え)。
個人的にこの曲のオフィシャルリリースを心から待ち望んでいたが、音を聴いて失望した。
エリック・リーズのSAXが削除され、スカスカになってしまった上に、途中でフェイドアウトと、見る影もない。
ブックレットには「全楽器プリンス本人による」とクレジットされており、そのためにSAXをカットしたの?
2-6(An honest man)は、映画 Under The Cherry Moon で流れるロマンティックなピアノ曲と同タイトルながら、これは全くの別物。
ボーカル多重録音によるゴスペル。
難解なメロディの奇妙な短編だが、Crucialを打ち切って乱入するウザい曲との不遇な評価は避けられない。
2-7(Sexual suicide)は定番未発表曲で、ミュート・トランペットを模した、エッチなシンセが炸裂する名曲。
ボーカルトラックは、若干のミックス変更がされているらしい。
2-8(Cloreen baconskin)は、この曲のためにクリボーは存在すると断言できる、最強トラック。
The Time 2ndアルバム録音時の、モーリス・デイとのセッションとされる。
淡々とエイトビートを刻みながら、時には情熱的なアドリブを加えるドラムスに、唸るような重厚ベース。
そしてプリンスのボーカル・パフォーマンスが炸裂するだけの曲。
これが延々15分余り。
いやーファンキーで最高。
フェイドアウトで終わるけど、おそらく続きがあるんだろうな、それも30分とか1時間とか。
中途半端な2-5は要らんから、これだけディスク1枚演ってくれた方が嬉しかったなぁ。
2-9(Good love)はサントラ Bright Light Big City から。
カミール声のハッピーな名曲ながら、30秒ほど短縮され、終了後には効果音が流れるように編集されている。
2-10(Strays of the world)はドラマティックで圧巻。目くるめく展開の、凄い曲ですね。
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disc 3)
3-1(Days of wild)は当時のライブの盛り上げ定番曲。
ここに収録されるのはスタジオバージョンではなく、ライブ録音。
しかし、なんでこんなのクリボーに入れるんやろか、NPGのアルバムに突っ込んどけば良いのに。
貴重な時間を10分近くも食ってるよ〜。
NPGオペレータで3-2に続くところなど、違和感あり。
3-2(Last heart)は、これまで正式リリースされなかったのが不思議なほどの、定番未発表曲。
The Last Heart You Ever Break...との歌詞が切ない。
3-3(Poom poom)はタイトルどおり、プンプンプンプン....を繰り返す、コミカルな曲。
3-5(18 & Over)や3-7(Get loose)はアルバム Come からのリミックスだし、
3-8(P. control)はアルバム The Gold Experience からのリミックスだし、
3-6(The ride)は同時期のライブ(ブルース)定番曲だし、、、
3-9(Make your mother happy)はエキセントリックなアイディアに満ちた、奇妙な名曲。
ほとんどブートで出回っていなかったと記憶している。
Girls & Boys を性急にしたような曲調で、このdiscの目玉かな。
3-10(Goodbye)は癒し系の、しっとりした美しいバラード。
アルバムのラストにふさわしい曲である。
もともとアルバム emancipation のアウトテイクで、The Holy River に変更されたらしいが、この措置は正解だったと思える。
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1-800-NEW-FUNKから購入した場合、後日、カセットThe Warが無償配布されている。
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