Kraftwerk (1970)

Kraftwerk
Jacket inner
(Germanofon 941001)

作品紹介 収録曲目 曲目紹介 音質評価 ジャケット

作品紹介

『抱腹絶倒の名盤』

KRAFTWERKの1stアルバム。 前身ユニットである Organisation 名義の Tone Float を含めると、実質的には第2作と位置づけられる。

KRAFTWERKは「元祖テクノ」として広く知られるものの、本作はテクノとは言えない。 ロックともジャズとも現代音楽とも言えないような、奇想天外なインストゥルメンタル音楽。 同時期のTangerine Dream, Ash Ra Tempel, Kluster, Amon Düülなど混沌としたサイケデリック・サウンドだったことに比べると、 KRAFTWERKは一線を画していることが判る。 極めて明確な輪郭を持っているうえに、豊富なアイデアと機知を盛り込み、徹底的に工夫を凝らして作り込まれている。

演奏はラルフ・ヒューター、フローリアン・シュナイダー、アンドレアス・ホフマン、クラウス・ディンガー。 クレジットはされていないが、ミヒャエル・ローター(ローテル?ローザー?)もグループに参加していたらしい(詳細は未確認)。 ディンガーとローターは後に「元祖人力テクノ」ユニット、NEU!(ノイ!)を結成。 またエンジニアのコニー・プランクはKRAFTWERKだけでなくNEU!やClusterの作品などを広く手がけているので、チェックしてみると良いだろう。

Ralf Hütter : Organ, Tubon
Florian Schneider - Esleben : Flute, Violin, Electric Percussion
Andreas Hohmann : Drums on track 1 and 2
Klaus Dinger : Drums on track 4
(Engineer : Conrad Plank)

"KRAFTWERK" はドイツ語で「発電所」を意味し、発音は「クラフトヴェルク」に近い。 しかし日本では「クラフトワーク」が定着しており、見直しされる様子も無いので、本サイトでもクラフトワークと表記することがある。 KRAFTWERKは一つの単語であり、たまに見かける「クラフト・ワーク」はCraft Work?と誤解する恐れあり、やんわりと突っ込みを入れてあげましょう。

本作を含む初期作品「KRAFTWERK」「KRAFTWERK 2」「Ralf & Florian」と前身ユニット「Organaization / Tone Float」はアーティストの意向により、正規にCD化されていない。 これらの作品は無かったことにして、「Autobahnがデビュー作」と主張していると言われるほど、強硬姿勢らしい。 一時期、Unofficial CDが出回っていた。主に以下の2種類。
Germanofon盤 (ドイツ製)
Crown盤 (イタリア製)

他にも、ライブ音源のボーナストラックが付く「無銘盤」も存在する。 貴重なライブ音源(Ruckzuck Cologne 1975)が追加されているものの、肝心の本編は針ノイズが酷い。 更にRuckzuck最終部分が欠けており(演奏時間が7:30付近で途中終了)、 論外のクオリティなので無視してよいでしょう。


収録曲目

Track Time Title
1 7:47 Ruckzuck
2 12:10 Stratovarius
3 9:30 Megaherz
4 10:02 Von Himmel Hoch
Total 39:37


曲目紹介

Ruckzuck(衝撃×2)
タイトルは一見「リュックサック」と思えるが、ドイツ語では、Ruck、Zuckのどちらも急激な動きや衝撃などの意味を持っています。 フルートとオルガンのリフが印象的なミニマルで、タイトなリズムはまさに名演と言えるもの。 後半はバランスが崩れる一歩手前のような、スピード感溢れるインプロビゼーションに引き継がれ、再び主題に戻って終わる、と思わせてワンコーラス追加というフェイントで締めます(無名盤は、ここがカットされている)。 個人的にはキング・クリムゾンの「21世紀の精神異常者」に匹敵する重要な作品と思っています。
Stratovarius(ストラトバリウス)
タイトルは恐らくバイオリンの名器「ストラディバリウス」に、ギターの「ストラト・キャスター」を掛け合わせたものと思われます。 これを名乗るヘビーメタル・グループも実在するとのこと(未聴)。 最初は「ぎゅいぃ〜ん」という電子ノイズが続き、正体不明のノイズ群に引き継がれ、足音と共に喋り声が聞こえた瞬間、猛烈なドラムの乱打、乱打。 以降はクリムゾンを連想させるようなロック・インプロビゼーション。 圧巻はラストの狂気じみたワルツ(?)で、カットアウトで終了。EL&P「Karn Evil 9」のラストを連想させられます。
Megaherz(メガヘルツ/MHz)
極めてシュールで前衛的。ファンならずとも、一度は体験する価値のある傑作ナンバーです。 機械の始動音でスタート。 0:12、強烈な低音ノイズから絶好調ノイズに、ゆっくりと昇りつめる。 2:05、静寂に転じ、フルートとオルガンによるアンビエント。トライアングル(?)の音色が心地よい。 5:15、再び静寂、調子っ外れなフルートがぴいひゃら鳴ってます。 5:56、荘厳なクライマックスに向かって、オルガン、フルート、ノイズが波状攻撃のように襲いかかります。こんなんでお判りいただけましたでしょうか。
Von Himmel Hoch(空高くから)
この曲もノイズ系で始まりますが、全編、ギャグやコメディ満載の名演です。これも一度は体験する価値のある傑作と言えるでしょう。 最初はどうってことない発振音ですが、次第に思い切り波打ってみたり、爆弾を投下してドッカーン!なんてやってみたり、動物(発情期のどらネコ?)の鳴き声?を真似たりします。 4:00、「動物の鳴き声」に合わせてドラムがどんっ!どんっ!と入り、アパッチ・インプロビゼーションが始まります。 次第に白熱、加速したところで、6:13、唐突に、電子音の漫才。もう笑うしかありません。 7:45、ラストはバンド演奏で締めますが、バックには相変わらず「動物の鳴き声」が鳴ってます。 9:45、爆弾を一発投下して終了。


音質評価

オフィシャル版ではないので、ローカルに保存されたマスターが使用されているのかも。 盤起こしの可能性も考えられるが、そうであるなら針ノイズは丁寧に除去されているようだ。 Germanofon盤では、ほぼ目立たないながら、クリック音が聞こえる箇所がある。 音質は後発のCrown盤に若干の優位性が認められる。 しかし編集という観点では、Crown盤はダメ。 演奏終了後の残響を切り詰める、例えばRuckzuckの最後の「シュヮンッ!」が聞こえないなど、厳密には「不完全収録」。 すなわち、決定盤は存在しない。 高品位マスタリングによる正規リリースを期待したいところである。

SoundCloudの謎アカウント"The Kraftwerk Database"で本作KRAFTWERK〜Ralf & Florianまでの3作が公開されているので、調べてみた。 ちょっと聴いた感じでは音質良さげかも?と期待したが、NG評価。 「無銘盤」と同じくRuckzuck最終部分が欠けている。あちこちに針ノイズが有る。


ジャケットについて

デザインはラルフによるもので、後にKRAFTWERKのシンボルとして使われている。 画像はGermanofon盤の表紙と見開き。 Crown盤のジャケットはドットが粗くて印刷も汚く、とても満足できるものではない。

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