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『曼荼羅組曲を録音するために立ち上げられたプロジェクト』 プログレッシブ・ロックやシンフォニック・ロックにおいても異色とされる本作。 中心人物はエジプト学者でもあるデヴィッド・ロール(David Rhol)であり、 自身の作品Om Mani Padme Hum(邦題:曼荼羅組曲)をレコーディングするためにスタジオミュージシャンを募り、 mandalabandが結成された。 David Durant (vo), Asbley Mulford (g), John Stimpson (b), Tony Cresswell (ds), Vic Emerson (kb)
1949年以降の、大国によるチベット侵攻を批判した、政治色の強い作品とされている。
事実上の主題曲といえる曼荼羅組曲は、チベット語で歌われる20分の長編。
チベット語の歌詞は、(1)大国への批判をチベット語に翻訳したもの、(2)チベットの古い経文から採ったもの、など諸説ある。
気になるならググれ!ということでmandalaband om mani padme hum lyricsで検索するも、2020年代であっても情報らしいものはヒットせず(それっぽいサイトでも開くと中身は空っぽ)。
やはり希少言語すぎて、超高難易度なのだろうか。
公式には、チベット国歌と仏教の真言から引用されてるようだ。
これも契機なので聴き返してみたりレビューを書いてみようかと思ったが、
深いリサーチと詳しいレビューを載せたサイトは既に多数あり。
今更なのは重々承知だが、想うこともあるので書いてみることにする。 タイトルのOm Mani Padme Hum(オム・マニ・ペメ・フム)はチベット仏教の真言(マントラ)であり、 その意味付けを詳しく解説するサイトもあるので、探してみるのも良いだろう。 [六字大明呪 Wikipedia チベット文字表記あり] それからマンダラバンドという名称。日本語の感覚では、B級感はぬぐえない。 小文字のアルファベット表記は、意図されたもののようだ。 なぜなら"l"を中心線として、左右対称っぽく見えるから。 bandalabnadじゃないけど、さすが学者さんらしい遊び心だと納得した。 それじゃあ、聴いてみましょうか。まずは旧A面を占める曼荼羅組曲から。 第1〜第4楽章がクレジットされているが、もちろんノンストップだ。 ダークなドローンにピッチを下げた人声が呻き、遠くで太鼓が鳴って怪しいお経が聞こえてくる。 なにせ「曼荼羅組曲」だし、こりゃアカンやつや停止!では少々気が早い。 当時のTangerine DreamやKlaus Schulzeあたりだったら、これで10数分引っ張るかもしれないが、ここでは安心してよい。 LPだったら溝を見りゃ最初から判ることだけど。 朗々たるブラス・シンセが切り込んで、ハードロックを思わせる速弾きエレクトリック・ギター。 包み込むようなシンセサイザ群による圧倒的なオーケストレーション。 壮大なコーラス隊。 手数足数の多い早打ちドラム。 そして絶妙な旋律に乗って高らかに歌い上げるデヴィッド・デュラントのバリトン・ボイス。 最初からアクセル全開のシンフォニック・ロックである。 第2楽章ではジャジーなピアノに、うねうねとしたグルーヴ感を盛り上げるベースライン。 畳み掛けるように、あっという間に大団円を迎える20分である。 ちなみに曼荼羅とか仏教とか東洋とか感じるシーンはイントロと第2楽章へのつなぎだけの、ごく一部に過ぎない。 注目のチベット語であるが、言語的な特徴がはっきりせず、やや不明瞭に聴こえる。 一方、シンフォニック・ロックとの相性は良さそうで、違和感は無い。 引用元とされるチベット国歌はYouTubeで試聴できる。 第3楽章の歌い出し「プォジョーン チョルカー、、、」はチベット国歌の一節ながら、その先が全然違う。 年代に応じて歌詞の変遷があったのか、意図的に書き換えられたのか? メインコーラス「ナムクォー・ガーワー・ギャーデーン・ウーパン・グンラー・レーク」(百の歓喜を備えた天授の法が、我々の頭上に留まり)も引用だが、やはり先に続かない。 一方で、第1楽章はオム・マニ・ペメ・フムを連呼しており、マントラを並べたものかもしれない。 ここまでくれば、歌詞英訳付きの動画が上がるのも、そう遠くないかも?と思えてしまう。
[チベット 国歌「偉大なるチベット国の国歌」チベット文字・英訳・日本語訳テキスト 美麗なイメージ画像] 旧B面はガラッと性格を変え、バンド本来の魅力を堪能できる。 歌詞は英語で、ジェノサイドとか聞こえてくるので、 かなり直接的な批判ソングになっている様子。 英語の曲なら歌詞を探せるので、ぜひチェックしてください。 Determinationは侵略者の立場における強烈な自己批判。 5拍子と4拍子の切り変わりが心地よいナンバーだ。 Song For A Kingは優しい響きの名曲だが、歌詞の冒頭" When you were a little boy, They came and took you away" 王に祭り上げられるために連れ去られた? しかも"And far across the rolling plains, For months on that caravan trail" のとおり距離感あり、ちょっと意味がわからず謎めいている。 "You know the Dharma will remain"は「ダーマ神殿」のこと?? Roof Of The Worldは素直に格好良い曲。 ハードなギターとシンセサイザのオーケストレーションが聴き所。 早打ちドラムも、手数割増しでお送りします〜。 ラストのLooking Inは"as our people are reborn"で爆発的に盛り上がる。 Ritual (Nous Sommes du Soleil)のラストにも通じるかな? 冒頭で紹介したとおり、mandalabandはデヴィッド・ロールが「頭脳」、デヴィッド・デュラント他全5名が「肉体」という位置づけで、 本作限りで進路が分かれる。 バンドメンバーは後継グループ Sad Café を結成し、活動を続けていく。 このCDは1992年頃のリイシューで、次回のリイシュー(マーキーのBelle Antique盤, 紙ジャケット, SHM-CD)は四半世紀後。 長期にわたって入手困難が続き、中古盤が高値で取引されていた。 事をややこしくしたのが、2010年発表の企画盤「Mandalaband I & II - Resurrection」の存在。 中身は本作と2nd「The Eye Of Wendor」のカップリングだが、ミックスが色々と弄くられまくっている。 企画盤として楽しむなら「有り」だけど、これしか入手できないとなると、否定的になるのは自明の理。 それでも、タイトルやジャケットから簡単に見分けられるので、誤購入の心配は無いはずだった。 ところが、である。 Disc Union系のレーベルArcángeloが、Resurrectionの輸入盤にオリジナルデザインの紙ジャケットを付けて、高値で売り抜けるという商法に出た。 「被害者」もいらっしゃるようだが、そこはユーザからのクレームをシャットアウトするために、しれっと「Legend Recordsのマスターを使用」と注意書きが書かれている。 これに価値を見出せるのは、紙ジャケットそのものや帯・解説を入手したいコレクターくらいだろう。 入手に当たっては、厳重に注意するべきだ。 Resurrectionを聴きたいならResurrectionを入手するのが自然である(1st,2ndセットでコスパも良いし)。 Klaus SchulzeやPatrick Morazでも同様のことが起きており、品質崩壊レベルの改悪リマスター盤を輸入して「〜のマスターを使用」紙ジャケット。 こいつらもArcángeloだね。ちなみにKlaus Schulzeは、Belle Antiqueすら同じ事をやってた始末(注意:2018年のリイシューは別マスターとされる)。 「〜のマスターを使用」表記は危険。貴重な資金をLossしないよう、十分に下調べしよう。 さて、オリジナル曼荼羅組曲だが、当時のレコーディング環境や技術の制約もあったと思うが、音質面に若干の不満あり。 音の解像度は十分OKだが、音数の多さゆえに、全てが小さくまとまった感がある。 それなりに音量を上げれば杞憂だとわかるが、今時の録音物に比べるとショボく思えてしまう。 またEdsel版CDだけかもしれないが、1トラック目の3:33頃に軽く音の乱れあり、気になるときには気になってしまう。 でも不思議なことにYouTubeに転載された音源では修正されてたり?するので、うちでも波形エディタで何度もトライアルしてみた。まぁどうにか、ほぼ気にならない程度になった。 ついでに軽くエンハンスをかけて、DIYでリマスタリングしてみた。 本リマスタリングは個人で楽しむために制作された物ですが、お聴きになりたい方がいらっしゃいましたら、連絡いただければ善処いたします。 Belle Antique版の音質は未確認。 このレーベルのマスタリングは良好な傾向だが、間違っても海苔波形ではないと信じたい。
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かなり残念な仕上がり |
ケース裏面 |