Wild Log Coaster
BANDIT
よみうりランド
(固有機種)
バンデットは、1989年に登場したキャメルバック型ローラーコースター。
FUJIYAMAでもおなじみトーゴ社製の国産機で、最高時速は110km/h。
かつての世界最速マシンとして知られている。
最大傾斜角度は45度と、今となっては精彩を欠くかもしれないが、このマシンの魅力は多摩丘陵の地形を活かしたレイアウトにある。
緑豊かな園内を爆走し、そのダイナミックさは日本離れしている。
そして通常のコースターでは考えられないような展開に驚かされてしまう。
駅周辺からは、コースの全貌を把握することはできない。
茶色のフォルムは周囲の景観に溶け込んでしまうのだ。
ネーミングは「略奪者、ならず者」との意味。
季節イベントとして、春秋限定の「逆走バンデット」、そして夏は水物コースター「スプラッシュバンデッド」が開催されている。
- 駅舎にて
- 搭乗口は至って簡素なもので、順番待ちスペースには屋根も無い。
コンクリートの階段を登るとホームに出る。
イベント期間中は、通常運行とイベント運行が交互に行われ、並び口も分かれているので、希望する列を選べばよいだろう。
フリーパスはマジックライトなので、改札の読み取り機器に手をかざしてホームに入る。
バンデットのホームは「乗り口」と「降り口」が直列になっており、互いに往来できない構造だ。
一時預かりロッカーは無く、基本は手荷物持ち込み。
大きな荷物や壊れやすいものは、あらかじめコインロッカーなどに入れておこう。
この構造はホワイトキャニオンやサーフコースター(八景島シーパラダイス)も同様である。
乗車位置は係員の指示で、自由に選べない(本件、オフィシャルサイトとホームにも掲示されている)。
前詰め乗車を指示されるので、閑散日には後ろに乗れないという問題も発生する。
よみうりランドに限らず、トーゴ製コースターは前詰め乗車が多いようだ。
- ライド
-
ライドは名称のとおり、丸太の筏をデザインしている。
かなり褪色してるが、それ以外は綺麗に整備されているように思える。
シートベルトは無い(逆走バンデットのみシートベルト有り)が、
非常に残念なことに、背の高いヘッドレストと、上から降ろすU字型ハーネス(肩押さえ)が付いている。
足元は窮屈とまでは言わないが、やや浅い感じだ。
ハーネスそのものは余裕あるが、視界が制限されて不満に思う。
特に前から偶数列目はヘッドレストが目前を塞ぐ。
車内には荷物入れポーチがある。ディバッグくらいなら楽に入るので、確実に入れておこう。
- 巻き上げ
-
スタート後、右カーブして巻き上げに入る。
メインテナンス用階段は左側なので、右側の席で真下を覗きたいところだが、ハーネスに阻まれ身動きが取れない。
それでも丘陵地帯をのた打ち回るコース後半や、直下のSLコースターを見ることができる。
展望は非常に良い。
多摩丘陵の標高がプラスされ、晴れれば関東平野や新宿高層ビル街が一望のもとである。
頂上に着くとコースは平坦になり、徐行しながら、前方の景色が見えてくる。
この構成はFUJIYAMAに似ているが、カーブの加わるFUJIYAMAに比べるとオーソドックスだ。
- 1st & 2nd ドロップ
-
そのまま直進するとファーストドロップに吸い込まれる。
傾斜が緩いので、風を切るようにブワーっと滑るように加速。
谷間の木々が迫り、迫力満点。
猛スピードで坂を駆け上がり、よじれながら左にUターン。
この急バンクカーブで体を乗り出したくなるが、ハーネスに阻まれてNG。
体をしこたま打ってしまう。
大人しく乗っていた方が、スムーズに通過できる。
続いてセカンドドロップ。
ドロップというより下り坂だが、初速が大きいので、強烈なバイブレーションに見舞われる。
そのまま猛スピードで直進。
いよいよバンデッド最難関の旋回コースに突入するので、しっかり身構えておこう。
- 螺旋の登り
-
コースが右に傾いた瞬間、強烈なプラスGに襲われる。
遂に突入だ。
轟音と圧迫の右カーブ。
しかも登りのGが加算され、体力が落ちていると貧血状態になる。
真横は病院で、窓から建物の中の人が見えるような見えないような。
2周目の旋回になれば体の負担も軽くなり、コースターの音も幾分静かになる。
かつての撮影ポイント(ストロボ発光あり)だったが、廃止されたようだ。
- 丘陵を疾走する
-
旋回を抜けると3度目の落とし。
緩い右カーブのピークを越えて4度目の落とし。
これまで走ってきたコース越しに、樹林の丘陵をどこまでも一直線に走っていくような波打つコースが現れる。
どこに連れてってくれるの、バンデット?
ここまで来ると、もう思考は別世界に飛んでいて、アップダウンで腰が浮く。
安全バーから手を放し、足も上げて体の力を抜いておくと、あら不思議。気持ち良いよ〜。
そして次のピークは右バンクカーブで、谷間への大落しが現れる。
コース後半にもかかわらず、落差30mくらいありそうで、大いに驚かされる。
角度こそ緩いが、下り一直線でぐんぐん加速。
芝生の広場のようになっている谷底では猛烈なスピードで、おそらくここが110km/hポイントだろう。最前列に乗ると、必ずといっていいほど風圧で涙が飛び散る。
スピードの持続がなせる業なのか、この現象はFUJIYAMAやサンダードルフィンでは起こらない。
そして樹木の中の大きな登り返しを、いとも簡単に越してしまう。
- 終着駅へ
-
坂を上りきるとホワイトキャニオンが迫ってくる。
そして右鋭角ターンに突入。
ややハードなカーブで、強いプラスGが掛かる。
その後、一時的ながら平坦な直線となり、一息つくことができる。
続いて再び谷間への落とし。まだまだ十分に落差がある。
直線的に登り返すとゼロGポイントあり、そして最後の落とし。
木々に視界を遮られながら左バンクで登り返すと、ついにゴールが見えてくる。
しばらく走って、更に4mくらいの坂を跳ねるように登ってブレーキが掛かる。
そして駅舎まで徐行し、大満足のうちに終了する。
まとめ)
地形を最大限に活かした、日本離れしたコースター。
にもかかわらず平日などは閑散としており、駅舎も老朽化(盗賊マスコットの剣が折れて無くなってたり)して、悲しみを誘っていました。
ゆえに存続を危ぶむ声さえも流れましたが、2005年に施設全般の化粧直しが行われ、往時のオーラを取り戻したのではないかと思っています。
後方の席でのスリルは筆舌に尽くしがたいのですが、前詰め乗車が大きなハードルです。
平日は空いているが後ろに乗れない、ならば行かない、という悪循環も考えられます。
観覧車で流れる解説では、コースターは「後ろの席が怖い」と明言しており、
解かっているなら、コースターファンのために後ろの席を開放する工夫が必要ではないか、と思います。
もちろん設計上の制約(重量バランスの問題らしい)もあるのだろうし、砂袋による重量調整なども、無闇にはできないのかもしれません。
代案?として、八景島では閑散時は1列置き乗車をやっており、これなら対応できそうに思えますが、如何でしょうか。
また将来的に車両更新する場合は、ハーネスの無い開放感ある車両(逆走バンデットのみハーネス付き)を期待したいと思います。
DATA
項目 |
値 |
備考 |
最高地上高度 |
60m |
コース上の表示による。駅から最高地点までの高度差は、非公式な値だが、約45mとのことである。 |
最大高低差 |
78m |
地形を活かした高低差。すなわち、駅より約30mも降下するのだ。 |
最高時速 |
110km/h |
建設許可をもらうために、クルマのサンルーフから頭を出して高速道路をカッ飛ばし、心電図をとったという逸話があるそうだ。 |
最大斜度 |
45度 |
規制を守った仕様で、残念ながら「並み」の値です。 |
最大G |
2.5G |
螺旋コースでは、数字以上に効きます。 |
軌道延長 |
1560m |
|
運転時間 |
3分07秒 |
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制作 |
TOGO |
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乗車制限)
身長110cm未満、妊娠中の方、骨に異常のある方、飲酒なさっている方など
(詳細および最新情報は、オフィシャルサイトまたは現地にてご確認下さい。)
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