計画しよう!
Let's Plan !
絶叫マシンを楽しむためには、まずはパークに出かけなければなりません。 近年はYouTubeなど世界中のコースター映像が溢れていますが、実際に乗ってみなければ、その楽しさはイメージできません。 パークに出かけるには情報収集が必要ですが、大抵はネットで得られます。 必要な情報は、以下でしょうか。
パークの運営スケジュールはオフィシャルサイトで必ず確認してください。 定休日、営業時間、料金(割引プラン)、マシンの運行状況・運休予定などを確認できます。 富士急ハイランドやナガシマスパーランドなどは、マシンの点検スケジュールを掲載していますが、 全てのパークがそうであるとは限らないので、電話確認などなさった方が確実と思います。 それでも、当日の朝になって機械調整による運休の憂き目に遭うことがあります。 オープン直後のマシンは、試運転で見つからなかった不具合が出てしまうこともあります。 また、急発進タイプは、比較的故障しやすいとお考えください。 2006年の大晦日、スペースワールドのザターンで、やられてしまいました。 絶叫マシンは「デリケートな精密機器」と捉えておいたほうが良さそうです。
そして、非常に重要になるのが、当日の天候です。 せっかく予定を決めて楽しみにしていても、当日雨が降ってしまうと、コースターは運休します。 F2(那須ハイランドパーク)のように、雨天でも乗れるマシンはありますが、例外と考えた方がよいです。 出発前日の天気予報チェックが必要で、ポイントを列挙します。
降雨・降雪)
一時的にぱらつく程度の雨なら運休しませんが、小雨でも降り続くならダメ。
雪でも同様に運休です。
予報チェック時には単に雨・晴れだけではなく、天候の推移を読んでください。
すなわち悪化傾向にあるのか回復傾向なのか、くらいは判断できます。
天気図を読む必要もあると思います。
雨が上がれば基本的に運行再開しますが、ドドンパは再開が1時間程遅れるなど、マシンによって色々な基準があるようです。
雨の日は基本的に避けるべきですが、
朝方大雨でも昼前に上がって、貸しきり状態で楽しめるケースもあります。
なお、TDRへ行くなら前日夜から開園まで、まとまった雨が降り続くと吉。
積雪)
レールに積雪があると、除雪完了まで運行できません。
たとえ天気が回復しても、大雪の後、数日に渡って運休することがあります。
霜・凍結)
レールが凍結すると、融解するまで運行できません。
冬場は開始時刻が遅れることがあります。
濃霧)
コースの状況を見渡せない、との安全上の理由で運休することがあります。
低温)
極端な低温はコースター運行に適さないようです。
最高気温が氷点下を割るようであれば、運休することがあります。
水ものやS&S Power製スペースショットなどは、低温には特に弱いです。
高温)
高温による運休は、筆者は聞いたことがありません。
むしろ、そこそこの高温はコースターのスピードアップなど、良い影響があるようです。
ただ、近年の高温化による40℃近い気温は、耐え難いものがあります。
熱中症に注意してください。
雷)
落雷を避けるため、ゴロゴロ鳴り始めたら、運休することがあります。
夏場は午前中勝負になってしまうことがあるかもしれません。
強風)
惰性で走るローラーコースターにとって風は大敵で、突風で停止することさえあります。
2007年4月に、FUJIYAMAが坂を登れず逆走したとのニュースがありました。
どんなに快晴でも、強風であれば目当てのマシンが運休します。
特に巻き上げ高度が高く、走行距離の長いコースター(スチールドラゴン2000やFUJIYAMAなど)が風に弱いです。
よって、風の予報を必ずチェックしなければなりません。
しかし風の予報は一番の曲者です。
ドドンパでは「最大瞬間風速15m/s」で運休とのことです。 しかし予報は原則として平均風速であり、突風などは、その数倍といわれています。 筆者は「予想風速 5m」を目安にしています。 実際、7m〜8m以上のときは、かなり派手に吹き荒れる感じです。 一方「予想風速 5m」未満でも強風になることがあり、 まれに地上は微風でも上空は強風で運休ということもあるようです。 さらに強風が吹き始めると、終日収まらないことも多々あります。 強風を予測するには、やはり天気図を読む必要がありますが、 なかなか難しいというのが正直なところです。 筆者なりのチェックポイントを列挙しますので、ご参考いただければと思います。 なお、関東〜東海を基準に書いてますので、その点はご了承ください。
それでは、天気図の例を交えて説明します。 ここで「高」は高気圧、「低」は低気圧、実線は等圧線、赤線は温暖前線、青線は寒冷前線のつもりです。 あくまでも模式図であり、実際の天気図に比べるとリアリティに欠けますので、ご容赦下さい。
強風になりやすいパターンは、以下のとおりです。
1) 冬型(西高東低)の気圧配置
2) 南高北低型(春一番・メイストーム)
3) 発達中の低気圧の通過
1) 冬型(西高東低)
寒い冬でも、コースターファンは空いているパークを目指します。
しかし「冬型の気圧配置が強まる(図1)」予報であれば要注意。
太平洋側は晴れ、日本海側は雪というパターン。
注目するべきは、日本付近を南北に縦断する等圧線。
この込み具合が激しいほど、冷たい北西風が吹きつけます。
コースター運休のリスクは高まりますが、関東では意外に穏やかなこともあり、その見極めは難しいです。
過去の天気図を見比べて検討するのが良いでしょう。
一方で、図2のように等圧線の混雑が北に偏っている、あるいは間隔が開いているなら、本州南岸は比較的穏やかな天候になります。 冬型小康状態でのスキー・スノボは最高です。 悲しき暖冬の年には、この気圧配置は滅多に現れないか、現れてもすぐに移動性になって消滅します。
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図1 冬型の気圧配置(強) |
図2 冬型の気圧配置(並) |
2) 南高北低型
春や秋に現れやすいパターンで、移動性の高気圧や低気圧が西から東に抜けていきます。
時には真冬にも現れて、強い南風をともない、春一番(ただし立春前だと記録に残らない)になることがあります。
スキーやスノーボードを楽しむには忌まわしい(ゲレンデで雨の)気圧配置です。
雪崩や落雪事故で犠牲者が出たこともあります。
ここでは日本海低気圧(図3)と南高型(図4)に分けて説明します。
日本海低気圧(図3)が現れると、低気圧に向かって暖かい南風が吹きます。 天気の良し悪しは、低気圧の通過する緯度や大きさに依存します。 関東では、晴れることもあれば、本降りの雨になることもあります。 いずれのケースも強風を伴い、コースター運休のリスクは非常に高いです。 低気圧は、やがて日本の東に抜けます。 その後は、冬型の気圧配置になり寒気が入るケースと、そのまま暖気が残るケースがあります。 予報で確認して下さい。
南高型(図4)とは、日本の南に高気圧がある状態で、やはり南風が吹きます。 天気図を見る限りでは、真夏の太平洋高気圧を連想しますが、この高気圧は移動性で、やがて東に去っていきます。 このパターンは、春先には予想外の強風になることがあります。 天気は良いですが、突風が吹き荒れて、観覧車さえ止まってしまうケースがあります。 日本では、春先は年間で最も風が強いとの統計があります。 風の強さでは、先の冬型よりも、はるかに凶悪です。
ここで、日本海低気圧(図3)と南高型(図4)が同時に現れると、南高北低型になり、確実に強風です。 雨になれば、荒れ模様の春の嵐。 晴れ予報であっても、パーク行きは延期したほうが良いでしょう。
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図3 日本海低気圧 |
図4 南高型 |
3) 発達中の低気圧の通過
低気圧が日本を縦断しながら北東に進み(図5)、日本を抜けた後に、東北沖付近で大発達するパターン(図6)です。
図5においては雨が降ります。
その後、天気が回復しても、低気圧に向かって風が吹き込み、数日に渡って強風が続くこともあります。
南風により、気温が上がることが多いようです。
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図5 低気圧が日本を縦断 |
図6 低気圧が抜けた後に発達 |
その他のケースで、顕著な強風といえば台風ですが、詳しい予報がリアルタイムで発表されるので、 判断に迷うことはないと思います。
周到に計画しても、当日の天候は運任せです。 回復見込みのない悪天では無駄足になってしまうので、 中止や日程変更、あるいは目的地変更などを想定して計画した方がよいでしょう。
以上の条件を考慮して、最高のコースター体験を楽しんでください。